日銀の政策金利が上がれば変動金利も上がる

ケースを考える前に、住宅ローンの変動金利がどのように決まるから簡単におさらい。

変動金利は銀行の短期プライムレートに連動しています。

そしてこの短期プライムレートは日銀の政策金利に連動しています。

つまり、日銀の政策金利が上がる時が住宅ローンの変動金利が上昇する時となります。

https://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/prime/prime.htm

ここに過去の短期プライムレートの推移が載っていますが、平成21年(2009年)1月からずっと変わっていません。低位に張り付いています。

政策金利が上がる3つのケースを考える

それでは、日銀の政策金利が上がるケースを考えてみましょう

①世界的にインレフを制御できなくなり、日銀も利上げを迫られる

発生確率25%

現状、アメリカではインフレのピークアウトの兆しが見えています。

しかしここから再上昇する可能性も残されており、世界的にインフレがコントロール不能に陥るリスクもあります。

こうなると、日本のコストプッシュのインフレに悩まされ、再び為替が大きく円安に振れ、為替介入でもどうにもできず日銀が利上げを迫られる可能性はあります。

このケースの場合は、日本は相応に不景気に陥っているはずなので、賃金は上がらず金利だけが上がっていき、人々の生活は困窮すると考えられます。

②日本の賃金上昇が中小企業にも波及し、インフレと賃金上昇のスライパルが起きる

発生確率30%

現在大手企業での賃上げがニュースになっています。

これが中小企業にも波及すれば、日本全体で賃金上昇が起こります。

日本の賃金上昇の継続が定着すれば、賃金上昇とインフレの好循環が発生します。

日本は30年程度悩まされたデフレスパイラルからついに脱却です。

この場合、日銀は正常な金融政策に戻すために政策金利を段階的に上げていくでしょう。

日本は好景気になっているはずなので、変動金利が上がっても大きな支障はないと考えられます。

③日本の政府債務の高さ、財政赤字を材料に海外から円売り攻撃を仕掛けられる

発生確率10%

3つ目は、世界的なインフレは収まっているけど、日本は引き続き低成長が続いているパターンです。

他国の経済正常化が進む中で日本だけが置いていかれ、日本の政府債務残高の高さ、財政赤字の大きさが材料視され、海外から怒涛の円売りが仕掛けられます。

円売りに対抗するために財務省は円買い介入をするも、円売り攻撃は止まらず日銀は利上げに追い込まれる。

①の場合と同様、日本は低成長に苦しむ一方で利上げに追い込まれるので、国民の生活は困窮していきます。

2023年中に利上げが起こることはない

と個人的には思っています。

ケース②に向かう可能性が一番高いと思っていますが、このケースでも2023年中に利上げができるほど日本経済が劇的に変わるとは思いません。

まずは長期金利が上がり、それでも日本経済の好循環が続くようなら政策金利変更のフォワードガイダンスが修正される、そして緩やかなペースでの利上げサイクルに入る、これが理想的な流れだと思います。

このケースでも2024年に多少の利上げが起こる程度で、ケース①や③のように急激に利上げが起こるとは到底思えません。

住宅ローンで固定にするか変動にするか、悩む人は多いと思いますが、個人的には変動にしておいていいと思っています。実際にぼくは変動金利で組んでいます。

変動金利に上昇があるとすれば2024年以降、そして上昇してもその上昇幅は緩やかになる、というのが現状の現実的なシナリオだと思います。