ローカルビジネス=ローカルの消費者からお金をもらう

会社を地方に構えながら売上の大半は東京の消費者から、というようなビジネスはローカルビジネスとは言えないだろう。

僕は静岡に住んでいるけど、静岡で有名な地元企業の大半は、実は売上のほとんどを首都圏で稼いでいる。

僕が所属していた静岡銀行も「地元に根付いた銀行」と謳ってはいるものの売り上げの7割は首都圏地域からによるものだ。これは決算書をみれば明らかである。

ローカルビジネスとは、静岡なら静岡にいるお客さんに物なりサービスなりを提供してその対価を得ることをさす。

市場規模の小さい地方

当たり前だが、地方の市場規模は東京に比べたら格段に小さい。

人口

東京23区の人口は1000万人弱いる。

対して静岡市の人口は今や70万人を切っている。

これは足立区や江戸川区と同じ規模だ。

静岡はまだ地方都市なのでいい方だが、地方都市の周辺市町村の人口は10万人にも満たない地域がざらにある。

人口から見ても、市場規模は格段に違う。

収入

これは感覚的な意見だが、例えば年収600万円以上をもらっている人の数を比べたら、東京と地方では大きな差が出るだろう。

これにより物価水準の違いが生まれてくる。

これも感覚的な話になってしまうが、僕が東京で働いていたころ、お昼のお弁当の金額は総じて1000円前後が多かったと記憶しているが、静岡ではもっぱらワンコイン、500円である。安いのは380円とか。

え、このカツ丼が380円!?とびっくりしてしまうようなものがたくさんある。

消費者にとってはいい事だが、売る方からしたら大変だ。

ローカルビジネスに向くもの、向かないもの

単純に東京でもあるものを地方に持ってきても、なかなかうまくいかなだろう。

地方に合わせた値段設定、雰囲気づくり、売り方、いわゆるローカライズする事が求められる。

地域の魅力を生かしたもの

物だけでなく文化も含めて、地域の魅力を生かしたものはローカルビジネスに向いているだろう。

その地域の特産品を使った料理や物、地域の自然資源を生かしたサービス、その地域特有の文化に即したサービスなど。

ただ、ここで勘違いしてはいけないのは、その地域の物を単純に使っているだけではなんの差別化にもならないといこと。

例えば、地元の野菜を使っています!と言ったところで、使っている野菜がほうれん草であれば、ほうれん草は全国どこでも手に入る物なので大した魅力とは言えないだろう。

他の地域にはない魅力を使う事が重要である。

新しいサービスを始めるなら大きな市場をターゲットにした方が良い

まだ世の中にはない、もしくは少ない新しいサービスを始める場合、それがどこでも提供可能ならば、より大きな市場で提供する事が望ましいだろう。

わざわざ、小さな市場規模をターゲットに新しいことを始めることは得策とは言えない。

ローカルにいながら都市圏をターゲットにすることは悪いことではない

たまたま自分の保有している資産が地方にあり、それを使うことで何かしらのアドバンテージを得られるならば、もちろんローカルを拠点にするのは得策だ。

だからと言って、その地域に縛られる必要はない。

その資産を活用して東京をターゲットにビジネスを展開することは大いに有効だし、実際に多くの企業がそれで成功している。

ローカルビジネスは甘くない

何を隠そう、僕自身が脱サラして東京から地元静岡に戻り、ローカルビジネスを始めた張本人だ。

周りの色々な方の助けがあって、なんとか表面上うまくやっているように見えたりもするが、1年先の見通しも立てづらい状況にいるのが事実。

ローカルビジネスの難しさをまさに実感しているところである。

地域資源や市場規模、どこにターゲットを置くのか、そのターゲットへのアプローチはどのような戦略で行うか、

マクロとミクロの視点を持って、正しい道を選んでいかないとすぐに撃ち落とされてしまう、そんな状況に直面している今の自分の感想でした。